市ケ谷記念館の概要

防衛省構内地図

 

  本記念館の本体は「市ヶ谷台の歴史」で述べられたように、陸軍士官学校本部(市ヶ谷台1号館)です。そして、それは時代の変遷により様々に使用されてきました。

 

 1987年、防衛庁の移転に伴って「1号館」の取り壊しが決定しました。しかし、市民団体の保存運動の懸命な努力により「全面取り壊し」が阻止され、辛うじて「一部保存」に至った経緯は、「2.「市ケ谷記念館」の設立」で述べたとおりです。この建物は防衛庁が自ら「保存」したのではなく、市民の力によって「保存」されたことを忘れてはなりません。

 

 「一部保存」決定の結果、本記念館は、「1号館」本体から分離した4つの施設から再構成して建設されました。その4つの施設とは、①正面玄関の車寄せ、②大講堂、③東部方面総監室(旧陸軍大臣室)、④陸自幹部学校校長室(旧便殿の間)です 。そのため、1号館の特色であった「左右対称の古典主義的構成」は失われ 、その外観は変容しました。

 

 本記念館の構造は鉄筋コンクリート造2階建、延べ床面積は約1,644㎡です。建設費は約18億円を要しました 。その規模は1号館(鉄筋コンクリート造、地上3階、地下1階、延べ床面積、約25,700㎡)の約十六分の一に相当します 。1994年10月から復元部材の取り外しを開始し、1998年10月に完成しました。

 

 1999年4月3日、防衛庁(当時)は、この「一部」移設・復元した施設を「市ヶ谷記念館」として一般公開しました。本記念館は、現在に至るまで市ヶ谷地区見学(市ヶ谷台ツアー)の中心に位置づけられています。

 

 本記念館の主たる展示品は次の通りです。

 

 ①主玄関ホール:一号館の大時計、桜のシンボルマーク。

 ②大講堂:幕末・明治・大正・昭和の軍服、陸軍士官学校教範等。映像「市ヶ谷台の歩み」の上映。

 ③旧陸軍大臣室:一号館復元模型、陸軍士官学校標札等。

 ④旧便殿の間:恩賜の銀時計、群馬県特別大演習写真等。

 

 また、二階展示室には、歴代教育総監写真、恩賜の軍刀、絵画等が展示、その総計は約三百三十点に及びます。

 

 なお、本記念館の運営は防衛省職員と派遣会社スが担当しており、年間入場者数は約2万人 、開館以来の延べ入場者数は2007年12月4日で20万人、2012年8月24日で30万人に達しました 。

 

 

「1号館」(創建当時)と「市ケ谷記念館」の比較

ー「市ケ谷記念館」は「1号館」の16分の1ー